ところで、房総地域とは、昔の「安房の国」「上総の国」「下総の国」を合わせた地域のことだそうで。
この内、下総の国があった下総台地はチバの他に、サイタマやイバラキ、トウキョウにも跨っています。
その下総台地を貫くように流れる利根川をパトロールしてきました。
本命はこの子。
もちろんオサホリが目的です。
2月27日、急に休日となったので目的地すら決めていませんでした。
ただ、安房方面まで行く気力がなく、北総(下総)エリアにしようかなと。
ならば利根川沿いの実績地を再確認するパトロールをするのがいいと思ったのです。
まずは(知る人ぞ知る)チームSYG発祥の地を目指して北東へ進路をとりました。
この日、気温は高くてホシベニ号で走っていても寒さはまったく感じないほどでした。
しかし道中、印旛沼の北、インザイの広大な田園地帯に入ると強烈な横風が。
長く続く吹きっさらしの広域農道は、バイクを少しバンクさせないと直進できないほどでした。

やっと強風(恐怖)の農道を抜けてしばらく走ると利根川の土手に到着しました。
ここがチームSYG結成の地。
河川敷は風も穏やか、青空の下で気持ちよく探虫開始。
過去に訪れたときも物件(立ち枯れや倒木)探しに苦労した場所でしたが、探せど探せど一つも見つかりませんでした。
結局、バチツルを一度も振ることなく移動することに。

今度はホシベニ号で土手を降りていきました。
こういうところに物件があるはずなのですが。
岸辺に沿って、入れるところを隈なく歩いてみましたが、ここでも物件は見当たらず。
さらに移動して、過去もっとも実績がでている場所へ。
そこは土手の上にバイクを停めて、河川敷まで降りてみたものの、採集ポイントへのアプローチが見つからない。
草っ原の中にケモノ道というか、ニンゲンが踏んだヒト道があったはずですが消えていました。
なんとか川岸方向へ入っていける場所を見つけて進んでいきましたが、やはり物件がない。
しかし、こんな小崖を発見。
これはいけるかもとバチツルを振ることしばし。
カニ歩きしながらちょこちょこ崩していると、ぽつっと出てくれました。
マイマイカブリ ♀ (オサムシ科)
マイマイは複数で越冬していることが多いので、近くにオトモダチがいるのではと周辺を丹念に試掘。
しかし、マイマイはおろか他に何もでませんでした。
引き続き草っ原の中を歩くも物件は見つからなかったので、小崖を探すことにしました。
小崖というほどではなく、堆積物の段差に被さった枯草をよけて掘ってみると。
中央付近に小さく写っていますがやっと追加が。
マイマイカブリ ♂ (オサムシ科)
また一人ぼっちだったので、オトモダチを探すべく周辺を崩していると出てきたのがこの子でした。
スジアオゴミムシ ♀ (オサムシ科)
親分にしては小さかったので、もしやアオヘリではないかと思いましたが残念ながら。
でも連れ帰ってから体長を計ったら20.5mmとかなり小型の個体でした。

親分が出たものの他のゴミムシの追加もなく試掘を続けることしばし。
マイマイはペアとなったので探索終了にするかと思いましたが、実績ポイントがどこだったか気になる。
アプローチが分からなくなっているのでローラーあるのみ。
土手から降りてきた地点は間違っていないと信じて、そこから今度は上流方向へと草っ原を探索開始。
あきらめず一時間ほどさまよったところで、ここだと思いあたる小崖を見つけられました。
期待を込めてコツコツと土を崩していると、見慣れたゴミムシのお尻が。
アオゴミムシ (オサムシ科)
見慣れたと言いつつも久しぶりに見ることができたので大事に確保。
そしてアオゴミはマイマイの指標虫。
すぐ横の木の根の奥からマイマイ出現。今度は一家。

オス2頭、メス1頭の三人家族でした。
マイマイカブリ (オサムシ科)
まだ掘れるところはありましたが、2ペア以上となったのでバチツルを納めました。

もう一か所、マイマイの実績地をパトロールすべく、ホシベニ号にまたがって再出発。
そこは土手からバイクで河川敷に降りられるポイント。
しかも藪の際に沿って物件があったのです。
が・・ない。
実は目印になる木があったので、位置は間違ってないのに、周辺をいくら探しても一つもない。
ならばと、藪の中へ突撃あるのみ。
腰の高さまで積み重なっている枯れた葦やノイバラを踏んづけ踏んづけ、物件のありそうな河川敷林へ。
しかし、地面は砂ぼこりが立つほど乾いていて、ほんのわずかにある半立ち枯れもカチンカチン。
さらに藪漕ぎならぬ藪踏みをして物件を探していきましたが、枯草の下に倒木は皆無でした。

まだ陽は傾いていなかったものの、藪踏みでけっこう体力を消耗してしまった。
帰ろうかとも思いましたが、せっかくなのでさらに上流のポイントの御神木の様子を見に行くことに。
30分ほど走って辿り着いたのは某大橋の橋の下。
微妙に位置が変わっているものの、かつてはマイマイがたくさん入った倒木はそこにありましたが。
バチツルを当てると、カキーンと跳ね返ってくるほどカチコチに乾いていました。
動物でいうなら白骨死体というところ。
御神木の最後を見届け、夕暮れの利根川を眺めて帰路につきました。
それにしても藪はあるのに物件が消滅していくのは何故なのか・・
毎日土手を散歩している人は知っているのかも。
オマケ
マイマイたちを生態展示すべく昆虫館へ持っていきました。
入場・見学は無料です。
今日の湯加減
今日は東大総合研究博物館へ講演「山岳・島嶼に生きる希少チョウ類の現状と保全」を聴きに。
オガサワラシジミ、ツシマウラボシシジミ、タカネヒカゲなどの生息環境保全、飼育下繁殖の話。
講演後、バックヤード見学をさせてもらいました。
古い標本と標本箱、そして古い什器がぎゅうぎゅうになっているところに、昨日設えたばかりというラックが。
O先生と一緒に見られたのは貴重な機会でした。
この記事へのコメント
engrid
高和です。
こん
昆虫をふくめて小動物が住めない環境で人間が本来の生き方ができるとは思えません。
また寒波がきていますのでお大事に・・
こん
河津桜、梅、水仙などの季節ですが、なかなか鑑賞する時間が・・
目線を落とせばホトケノザやオオイヌノフグリも愛でられますね♪
sakamono
こん
マイマイたちはお尻を向けていたおかげで傷つけずにすみました。
河原はほんとに誰もいませんでしたね・・
響
まさかバイクだけ見たらツーリングとは思っても
オサホリとは誰も思わないでしょう。
こん
オフ車でもないので、河原に停めていると、何をしに来たのかフシギでしょうね・・笑